今週のギャラリーショップコラージュ
道本真美 個展「わくらば mere variant」です。
会期:2016年7月12日(火)〜7月17日(日)
12:00〜19:00(最終日は18:00まで)
作家在廊日:毎日
箱や流木で出来たフレーム、羽根や小石など、様々な素材でつくられた作品たちが並びます。
添えられた文章は、出来上がった作品からイメージしたり、制作途中にふっと浮かんだりしたものだそうで、作品と心地よく響き合っています。
ぜひご覧ください。(ギャラリーは、ご主人である道本勝さまの展覧会を開催しています)
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アルツハイマーの父との暮らしは、時間の流れが違います。父には過去も未来もありません。全ては今、今、今の連続で、まるで「普通」とは異なる不思議な感 覚です。共に穏やかに愉快に暮らすには、私の視点を変えるのが一番。観点を変える。常識を捨てる。それを超える。そうして、できた病む人との暮らしが儚く も真理に迫っていることは多々あることに気づきました。それはまるで、健康な青葉の群れの中のポツンと在る 赤く枯れた一枚の病葉(わくらば)の美しさにも似ています。
制作するには限りある時間の中において、そうやって得たこだわらない心というのは、今迄になくとぎすまされた感覚となるようです。心の中に美を感じる何かに形をもたせていく過程においても、我ながら驚くほどに思いがけなく色々な事が自然と流れるように起こってきます。
わくらばには、そういう「邂逅」という意味もあります。邂逅にできてしまったこの初めての個展。こんな私のわくらば生活から溢れ出た、とても私的な何かを見ていただけたら、恥ずかしながらも嬉しいです。(道本真美)
〈道本真美〉
1961年 生まれ
1979年 渡米
1981年〜1985年 C.C.A.C(カリフォルニア芸大)現C.C.Aにて、Marvin Lipofsky氏に師事
2016年 30年の沈黙の後、アルツハイマーの父を介護しつつ共に暮らす生活ので見出した「視点の変換」や「常識からの逸脱」体験を機に、ようやく 自らの根元の再発見として制作を始め、毎日毎分を楽しんでいる。